なんでコイツ、こんな女受けしそうな店知ってんだろ。 明るすぎなくて、でも暗いわけじゃなくて。 飯も美味いし、五月蝿いわけでもないし。 あたいなんかでも、なんか素直に「ココ好き」って入った瞬間に思った。 普段そう言うのに五月蝿い可憐や野梨子も、絶対ココ気に入るよ。 でもさ。 なんで、お前がこんな店知ってるんだ? お前、こういうの苦手分野なんだろ? 前に、誰と来たんだ?
「どうしました?・・・それ、失敗でしたか?」 「え?」 「なんだかあまり進んでないみたいですけど」 「そ、そんなことないぞ」
美味しいよ。・・・・美味しいけど、でも。 なんだろ。 段々、イヤになってきた・・・・。
「フム・・・一昨日の店の方が良かったですかね」 そうかも、一昨日の店の方が良かったかも。 だってあっちは、男も女も関係ないだろ? 大人も子供も関係なくて、こんな・・なんか・・・雰囲気のある店じゃなかったから。
「手を付けてしまってますけど・・・ま、今更ですよね。僕達の間じゃ」
―――イ、ヤ・・・・。
食べれそうにないならって自分の皿と交換しちゃうなんて。 そんなのいっつもしないじゃん。 なにか間違っても、「自業自得だ」っていつもなら言うだろ? それなのに・・・。 それとも他の女にはこんな優しいの、言ってるのか? って、なんでこんな他の女の事、気になるんだろ。 あたいにはそんなこと関係ないのに。
「悠理?」
でもやっぱり嫌だ。 他の誰にかに優しくしてる清四郎なんて、嫌。
「ふ〜・・・姉貴の言う事も当てになりませんね」 「へ?」 「ココ。姉貴が絶対、悠理も気に入るからって。一昨日の店の事話したらえらい剣幕で怒られましてね。でもま、僕もココ初めてだったんですけど、雰囲気いいし、なるほどな、って思ったんですけどね。やっぱり、お前はそういう事じゃないな」
なんだよ。バカみたい・・・。 お前、そんなこと気にしてたのか? あたい一昨日の店でも楽しかったんだぞ? でも。わざわざ和子さんに教えて貰ったんだ。 プライド高いくせに。 クククク、お前・・・・バーカ。 そうだよな、お前がこんな店、知ってるわけないよな。 なんだよ、あたい、変なの。 今、すっごい嬉しい。 「一昨日の店も、ココも好きだぞ。そっちも美味しかったし、これも・・・・うん、美味い」 「なんですか、さっきまでぼんやりしていたくせに」 だって、急に嬉しくなったんだから仕方ないだろ。 「な、な、それよりお前それ、さっさと食えよお。映画始っちゃうだろ」 「まだ大丈夫ですよ。それより、今日はもう寝ないでくださいよ」 「お前に言われたくありませ〜ん」 フフン、今日は寝ないよ。 でも、また肩は借りるかも。 だって、今は少しでもお前の傍に居たい。
あたい、わかった。 お前を他の誰かに取られたくないんだ。 ずっとあたいの傍にいて欲しいんだ。
・・・って、うわーー! あたい今絶対、顔紅い! だってすっごく暑い!!
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