「――――仕方ないじゃないですか。穴を開けるわけにはいかないと言われれば。豊作さんにとって大事な集まりらしいんですよ」 仕方ない? あぁ、そうだな。 仕方ないよな。兄ちゃんだって大変なんだ。 でも、でも・・・・・あたいがムカつくのは。
あたいとのドライブの計画練ってる時よりも楽しそうなその顔なんだ!
だから言いたくなかったんだ。 ・・・・・なんだよ、嬉しそうな顔しやがって。
そりゃ、あたいだって、わかってるよ。 母ちゃんが出ていって、父ちゃんが役に立たない今、兄ちゃんがその代わりをしなくちゃいけなくて、そしたら兄ちゃんの代わりを他の誰かがしなきゃいけない、なんて事。 でも、どうしてそれが清四郎なんだよ。 秘書のおっちゃん等で充分じゃないか。 なぁにが、 「秘書の方々は、おばさんの行方を捜すのにおおわらわなんですよ」 だ。 誰か一人ぐらい、残しとけよ。兄ちゃんのバカ。
「とにかく明日の予定は変更です。ドライブは、ほら、明後日にでも」 む。 ・・・・何だよ、その適当な言い方。 あたいは、明日がすっごく待ち遠しかったのに。 お前の運転も、海中公園も、めちゃくちゃ待ち遠しかったのに。 お前に取っちゃ、どーでもいいんだ。
「いつものようなパーティーじゃありませんからね。仕事絡みだし、大人し目の恰好にしてくださいよ」 「・・・・・あたい、行かない」 「え?」 「あたい、パーティーもドライブも行かない。どっちもヤダ!」 「悠理?」 「今のお前、めちゃくちゃ楽しそうだよな!それならもうずっと兄ちゃんの手伝いばっかしてろよ。どうせあたいと何処か行くのなんて、面白半分の暇つぶしだったんだろ!」
そうだよ、だってあたい別に好きだなんて言われてないんだ。 あん時のケーキだって、興味本位で食べてくれただけなんだ。 手を繋いだのだって、あたいの反応見て楽しむだけだったんだ。 そうなんだ。こいつがあたいの事なんて好きになるわけないんだ。 それに、ほら。 こいつ、なんにも言わない。図星、だったんだ。
あー。もうだめ。 もう、顔見たくない。
「じゃ、じゃーな」
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