嬢ちゃま、起きてらっしゃいますか。清四郎様がいらっしゃいましたぞ。なにやら火急のご用とか」
今更、言い訳しにきたのか? まだ、あたいをからかおうっての?
「追い返してイイよ。もう寝てるって言って」 今はまだ会えない。 会ったらもっとへこんじゃいそうだし。 悔しいけど、まだ嫌いになれないんだ。 まだ、どっかでちょっと期待しちゃってる馬鹿な自分がいるんだ。 だから、今は会いたくない。
「―――と、仰っておりますが?」 もう良いんだ。 あいつなんか好きになったのがそもそもの間違いだったんだ。 ・・・・・・・え? 「悠理。謝りにきたんですよ。僕の顔なんて見たくもないのはわかりますが、少しぐらい話を聞いてくださいよ。入りますよ、良いですね」
せーしろお・・・・・。
大嫌いだ。 こいつって、やっぱずるい。 卑怯だよ。 こんな・・・こんな、マジな眼されたらあたい、また信じちゃうじゃないか。
「今更、だったかもしれない。だけど、信じて欲しい」
ダメだよ・・・・・ずるいよ。 あたい・・・・あたい・・・・だって、もう・・・遅いんだ。
「いつも僕はお前を泣かせてしまうな」
もう、嫌いになんてなれないんだから。
「バカ」 「え?」 「バカ!アホ!サイテー!ひきょーもん!大っ嫌いだ、お前なんか。もう許してなんかやんないんだからな」
バカじゃない。アホじゃない。最低じゃない。卑怯者じゃない。 大嫌いになんかなれない。 全部、あたいの我侭なんだ。 あたいが好きなのに、大好きなのに、怖くて、信じられなかっただけなんだ。 許して貰うのはあたいの方なんだ。
「なら、許してくれるまで言い続けますよ。悠理、僕は、お前を――――」
もう、涙が止まんないよ。
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