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チコの二日酔い日記
2008年2月
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ジャックの嘆き1
二日酔い度 ★★

オレの名はジャック。
誰もそう呼ばないが、オレはオレをジャックと呼ぶ。
オレはたった一人で静かな大人の集まるバーをやっている。
もともとホテルのバーで修行を積んだ。
シェーカーさばきなら誰にも負けない。
読書が趣味で客との話題には欠かない。
本当に酒が好きな、オレの好ましい客が毎晩疲れを癒しにここに来る。
オレの作った酒を、ジャズに耳を傾けながら静かに飲む。
ここはオレの聖域だ。誰にも邪魔はさせない。
しかし冷静でクールなこのオレが、ここのところ頭を痛ませている。
このビルの3階に越してきたヤツらのことだ。
最初、看板が上がったときは、最近よくある女ばっかりのショットバーだと思っていた。バー、と言うんだから誰でもそう思うだろう。
女には興味はないが、オレよりも酒を語れる女だったら認めてやる。
そう思っていた。

ところが・・・・・・・・・・。

一応オープン前にはつまらない菓子を下げて挨拶に来た。
疲れ果てた年齢不詳の垢抜けない背の低い女が、
突然ドアを開けてオレの店に入ってきた。
すでに客もいる。営業時間中に失礼なヤツだ。
外には、これも年齢不詳の、男か女かもわからないサルみたいなヤツと
もう一人女が立って、不安そうにこちらを見ている。

こいつらがガールズバー・・・・・・・?????

そしてヤツらの店がオープンした。
1階エントランスには、オレに断りもなしにデカい花が並ぶ。
そこでオレが見たものは、まさに下品で醜悪な世界だった・・・。
2008年2月1日(金) No.584

ジャックの嘆き2
二日酔い度 ★

オレの名はジャック。
誰もそう呼ばないが、オレはオレをジャックと呼ぶ。
ヤツらがこのビルに越して来てから、オレの苦悩は始まった・・・・・。


着物姿の女がいったい何人いるのか、やたらエレベーターを行ったり来たりしている。一瞬、和装バーなのか?と思ったがドレスの女もいるので違う。
やがて女達は酔っ払いの客を乗せて騒がしく降りてくる。
何度か見るうちにやっと、挨拶に来た女がどれかわかった。
どれほど化粧をしているのか、あのときとはまるで別人になっていた。
サルはチーフ的な存在だろう、ひっきりなしに買い物にパシっている。
オレはだんだんイヤな予感がしてきた。
3階から降りてくる人間達の酔っ払い方が尋常ではない。
そしてその予感は当たった。
エレベーターが開き、客が降りてきてオレの店のドアを開けた。
「そこ違うよ〜」と笑って制する女の声。
タヌキ女め。
1日に何度か間違ってドアを開ける。謝罪もない。
わざとやってるのかと言いたくもなる。
ガラスにもたれてうだうだとオレの店の前でしゃべっている客と女。
バンバンバン、とガラスを叩く女。
「やっかいなのが引っ越してきたね〜」と客に言われ、オレは
「動物園か、幼稚園ですかね」とジョークを言うのもやっとだった。


そしてヤツらがオープンして3日目だったか。
いつか来るかもしれないとは予想していたが、招かざる客が来た。
客も引けてオレは一人小説を読んでいた。
ヤツらが来る前に3階に入っていた、Bという店のチーフの男と、タヌキ女が一緒に入ってきた。
オレは瞬時に入れるわけにはいかない、と判断した。
チーフは知った男だが、タヌキ女にオレの酒を飲ませるわけにはいかない。
君一人ならいいけど、と男に言うと何でですか!とくってかかってきた。
理由など言う必要はない。
とっとと出て行ってくれ!と心の中で叫んだ。
男とタヌキはおとなしく出て行った。
そしてその直後も、やっぱり酔っ払いがドアを開けやがった。

オレのドアに手を触れるな!!!!!

タヌキはすぐ謝りに来たが、完全に無視してやった。
こっちが少しでも折れる素振りを見せて、図に乗ってこの先酔っ払いに出入りされたらたまったもんじゃない。
ここはオレの聖域だ。
この空間を守れるのはオレ自身だ。
しかし、オレを完全に憤怒させる出来事がまだ待っていたのだった・・・。







2008年2月2日(土) No.585

さぶいなぁ
二日酔い度 ないなぁ。

あ〜〜久しぶりの日記(^_^)v
いっぱい書くことあるけど時間もないので・・・
引っ越してやっと落ち着いてきた感が出てきました。
商売人にとっては2月は氷河期と言われております。
昨日はそんなかんじでした。
あ、ジャックの話の続きはどうなったかって?
またジャックに聞いときます。
最近平和ですよ〜。

2008年2月6日(水) No.586

ジャックの嘆き3 
二日酔い度 ★★

オレの名はジャック。
まぁオレの名前なんてどうでもいい。
ヤツらがこのビルに来てから数日がたった。
今でも思い出すといまいましいあの出来事・・・・・。

うちの常連の客が帰ろうと、ドアを開けた。
ちょうどドアを開けたときに3階からのエレベーターが開き、何かただ事ではなくどやどやと人間がもつれたように出てきた。
「ありがとうございました」と言いかけたオレの声が止まった。
ドアは開いていたので、でかい声が聞こえてきた。
よく見たら、男が二人喧嘩しているのだった。
その二人を止めようとしているのか、サルとタヌキが間に入って、パイナップル女がオロオロしている。
うちの客はヤツらを避けて立ち止まらずに帰り、難を逃れたが、ヤツらは外でしばらく揉めていた。
もう見る気もしなかった。
オレは持っていたアイスピックでヤツらを刺してやりたい衝動にかられた。
または、こいつらを全員ミクロに小さくして、シェーカーの中に入れて、振って振って振りまくって、ドロドロの液体にしてやろうかと想像した。
ニュースで、隣人とのトラブルが原因で殺人、という事件を見たことがあるが、オレはそんなバカな人間達がこの世に存在するのかと思っていた。
しかし今ならわかる。
そして、ヤツらがこの先どんな悪態を見せてくれるのかと思うと、本気で殺意を抱いてしまう。
出て行け!
とっとと出て行け、ガールズバー!!!
死ねっ!!!






2008年2月7日(木) No.587

ジャックの嘆き あとがき
二日酔い度 ★★

このお話はフィクションであって、ノンフィクションであります。
一度ちゃんと謝りに行かねば、と出向いて、入店拒否をされた瞬間は、体が凍りつき、今まで向けられたことのない露骨な敵意みたいなものに怒りと疑問でいっぱいでした。
毎日毎回通るたびにうっとうしなぁ、と苦痛になってきました。
こっちも悪いけど、客を断るなんて!!と、屈辱でした。
そして、仲良く、とまではいかなくても、なんとか和解できたらナ〜と願う気持ちもあったのです。
そんなこんながぐちゃぐちゃになって、自分の思ってたよりもこのことがストレスになって、結構お客さんにも話してました。
ほっとき〜や、気にしなや、と言う人が大半やったけど。。
このビルに越してきたのは間違いやった、とまで思ってたから、私も相等マイナス思考というか、気にしぃというか、執念深いのか。

でも、喧嘩してるお客さんを見られた瞬間、私は諦めました。
こりゃダメだ、と。
もう相手方からしたら、こんなヤツらとかかわり合いたくないと思われてもしかたがない。
そして、おちょくってるわけでもなく(ええ、けっして。)相手方の立場になって、気持ちを想像して書いてみたわけです。
そしたら自分でも書いてて笑ってしまって、一人で笑ったら私の中です〜っと何かが消えていったのです。
腑に落ちたしね。向こうの方が毎回通られるたびにイヤやろなぁ、とか。
もし私が、静かなバーを一人でやってて、同じビルにホストか何か、ちゃらちゃらした店が入ってきて、酔っ払いに間違えてドアを開けられるわ、喧嘩するわしてたら・・・私だったら本気でアイスピック持って文句言うてるかもしれません。

何日かたって、そのバーに行ってる、という共通のお客さんも何人かいたし、最近は私達も落ち着いて酔っ払うことも少なくなったし、ドアを間違えないようにちゃんとお客さんを誘導するようになったし、時間が経てばもしかして受け入れてくれる時が来るかもしれない。
という希望は捨てずに、おとなしく1階を通る毎日でございます。
いつか仲良くなったら、この日記を見て笑ってくれるかな。
いや、その時はホンマに怒るかもしれんな〜。




2008年2月8日(金) No.588

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