一体どうしたって言うんだか。 さっきからちっとも料理が減らないじゃないか。 味は結構いいと思うんですけどねぇ・・・。 何か悠理の嫌いな物でも入っていたんだろうか。 ・・・・こいつ、うなぎの他に好き嫌いなんてありましたかね。
「どうしました?・・・それ、失敗でしたか?」 「え?」 「なんだかあまり進んでないみたいですけど」 「そ、そんなことないぞ」
って、本当に素直ですねぇ。 どこが「そんなことない」ですか。 一昨日とは全然違うじゃないですか。 「フム・・・一昨日の店の方が良かったですかね」
やっぱりそのようだな。 こんなに食事時に沈むとは。 しかしうなぎ以外で初めて見たな。悠理が食べれないものだなんて。 ま、うなぎ嫌いは僕にも責任がないとも言えないが・・・・。 でも今日の料理には"長くてにょろにょろした物"は入っていない筈なんですけどねぇ。 ま、とにかく失敗らしい。 代えてやりますか。
「手を付けてしまってますけど・・・ま、今更ですよね。僕達の間じゃ」
っと、これでもダメですか? こっちのは確実に悠理が普段食べているようなモノなんだが。 ・・・・もしかして、どこか体調でも悪いんだろうか。 でもココに来るまではいつも通りでしたよねぇ。
「悠理?」
・・・・・・・・。 この店が気に入らないんだろうか。 確かに、少し雰囲気が良すぎる感はありますからねぇ。 どちらかと言うと賑やかな方が好きな悠理には、やっぱり一昨日の店の方が楽なのかもしれないな。
「ふ〜・・・姉貴の言う事も当てになりませんね」 「へ?」 「ココ。姉貴が絶対、悠理も気に入るからって。一昨日の店の事話したらえらい剣幕で怒られましてね。でもま、僕もココ初めてだったんですけど、雰囲気いいし、なるほどな、って思ったんですけどね。やっぱり、お前はそういう事じゃないな」
ふっ、やっぱりその様だな。 コイツにこんな"女性受けするような雰囲気"なんて、必要ない。 何よりも「楽しい」ということが一番なんですから。 作られたモノではなく、自然に出来たその場のモノ。 悠理に小手先のモノは通用しないってことですね。
ってなんだ、急にニヤニヤしだしたぞ。 「一昨日の店も、ココも好きだぞ。そっちも美味しかったし、これも・・・・うん、旨いぞ」 「なんですか、さっきまでぼんやりしていたくせに」 でもま、やっぱりコイツは笑ってる顔の方がイイ。
「な、な、それよりお前それ、さっさと食えよお。映画始っちゃうだろ」 「まだ大丈夫ですよ。それより、今日はもう寝ないでくださいよ」 「お前に言われたくありませ〜ん」 本当に、さっきまでの杞憂がバカみたいですよ。 ククククク。 まぁでもイイか。
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