嫌がるとは思ってましたけど・・・。 そこまで膨れなくても。
「仕方ないじゃないですか。穴を開けるわけにはいかないと言われれば。豊作さんにとって大事な集まりらしいんですよ」 確かに悠理にとってはなんの面白味もないパーティーでしょうけど。 でも、ふたりで出かける事には違いないんだし、何より、世間一般では父親だけではなく、兄だって妹の恋人には手厳しいもんなんですよ? それなのに、豊作さんは僕を頼りにしてくれて。 それって認めてくれてるって事じゃないですか。 僕だってその期待に充分応えたいですよ。 これからも一緒にいるために。
「とにかく明日の予定は変更です。ドライブは、ほら、明後日にでも」
パーティーにふたりで参加だなんて、滅多にあることじゃありませんからね。 それに元々、明後日だって、また撮った写真をふたりで見る予定だったんだ。 それが一日先延ばしになるって事は、またふたりでいる時間ができるという事。
「いつものようなパーティーじゃありませんからね。仕事絡みだし、大人し目の恰好にしてくださいよ」 なんて、偶にはシックに決めた姿も見たいだけだったりも――― 「あたい、行かない」 「え?」 「あたい、パーティーもドライブも行かない。どっちもヤダ!」 「悠理?」 「今のお前、めちゃくちゃ楽しそうだよな!それならもうずっと兄ちゃんの手伝いばっかしてろよ。どうせあたいと何処か行くのなんて、面白半分の暇つぶしだったんだろ!」
・・・・ちょっと待て。 何を言ってるんだ、こいつは。 楽しそう? えぇ、そりゃ、まぁ。デートなんですし。楽しいですよ・・・・ねぇ? で、どうして"ずっと、豊作さんの手伝い"が出て来るんですか。 手伝いといえば、手伝いだが、代わりにパーティーに出るだけじゃないか。 それに、面白半分の暇つぶし、だと? そんな風に思われていたのか? 面白半分で、ただの暇つぶしで、誘っていたと? ・・・・・・・・ある筈がないじゃないか。
「じゃ、じゃーな」
「悠理!」 くそっ!
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