++Diary++


2010年11月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    



月の日記を
 OR AND
スペースで区切って複数指定可能
金鰤さんの片思い
「キンブリーさん」
呼び止められて、振り返って、幸福になって、そして彼女の薬指にはまった指輪を見てそれ以上の絶望感を味わう。
「どうしましたか?」
「父の書斎を整理していたらこんな物が」
そう言って彼女が差し出して来たのは亡き師の研究書。
「私には必要ありませんから、貴方に」
「ありがとうございます。またお宅にお伺いします。美味しいケーキを買って行きますから、先生の思い出話をしませんか?」
「父も喜ぶと思います。それでは、これで」
「…………御婚約、おめでとうございます」
「ありがとうございます。今度いらっしゃる時は副官の方もお連れになって下さいな」
「彼女は副官から外しました」
「…………そう。残念ですね」
「私には貴女が唯一ですから」
『唯一』の言葉に陳腐さがきわだって、苛立ちだけが残った。
「では、また今度」
悲痛そうな表情をした彼女に背を向けて歩き去る。



永遠に彼女に囚われることの幸福に頭が狂いそうだった。
2010年11月10日(水) No.50

No. PASS
No. USER PASS
[日記管理] [TOP]
shiromuku(cr3)DIARYS version 1.10
CGIレンタルレンタル掲示板 Net4u