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堕天王の逝く道
2007年8月
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月の日記を
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その3
最近知ったのですが、桜塚やっくんが満月をさがしてのタクト役だったんですね。ビックリ仰天。ちなみに満月をさがしては、良作アニメ。30話辺りから見るのがよろしかろうかと。漫画版は、アニメを見るなら後から読むべし。ネタバレ多量。でも、漫画版も見なきゃダメ。メロコとかイズミの過去話が読めるのは、漫画版のみ。

由紀子・夏樹編第十三話 その3
 セミの声がけたたましい。空は抜けるように青く、今日一日がいつものように暑い日になることを教えてくれた。
「櫻よ、朝から励んでおるな」
 母屋の廊下から、橘家の当主である勝彦が声をかけてきた。いつも厳しい表情の彼も、今はどこか柔らかく見える。
 櫻は、深く一礼する。書類上彼女の祖父にあたるが、祖父であろうとしているのは勝彦だけで、櫻にはとってはあくまで橘家の当主でしかない。櫻が自分で敢えて引いている、孤独の白線だ。だから、櫻の仰々しい礼は、勝彦の顔を曇らせる。
「今日は、外出する日だったな」
「はい、申し訳ありません」
「いや、たまには息抜きも必要だ。夕食も適当に見繕っておく。気にせずに行ってくるがいい」
「ありがとうございます」
 取り付く島もない。心を閉ざした彼女に、少しでも変化を――そう願わざるにはいられない勝彦だった。
 今日は、少し前からストーカーの如く付きまとっている二人組み、『櫻攻略同盟軍』の同盟長氷女沙夜と、参謀の鏑木(かぶらぎ)優子と、水族館に行く事となっている。なんでも鏑木家のご令嬢である優子が、無料チケットをもらったとか。今日行く水族館は、新しく出来たばかりの所。多分、鏑木グループも一枚噛んでいるのであろう。
 櫻としては、不本意である。果てしなく。行きたくはない。でも、彼女自身は実は沙夜の事をそこまで嫌いではなかった。彼女は、方向性は違うものの同種の人間である。己の信念に基づき、櫻と共にいる道を選んでいる。それを馬鹿にする権利は、誰にもない。しかし、優子の事は心底嫌いだった。それは今に始まった事ではない。初めて視線が交わったその時から、本能的に嫌いだったのだ。
 部屋に戻り、服を選ぶ。真剣に服を選ぼうとしている自分に気付き、苦笑。いつも通り、桜色のカッターシャツとジーパンを選び、彼女は出かけた。
 八月という事もあって、朝とはいえ日差しが厳しい。立っているだけで、汗がにじみ出てくる。
 陽炎が立ち上る中、櫻は駅前のコンビニの前までやってきた。待ち合わせ場所は、櫻駅の前なのだが、あそこは日影にはなっているものの、暑い。約束の時間まで十分ほどあるのだから、ギリギリまでコンビニで休んでおくのがベストである。
 そう思ったのだが、あの天然が少し入った氷女沙夜のことである、十分も二十分も前から駅前で待機している可能性はある。彼女の容量の悪さは、類を見ない。櫻は、目がとってもいい。視力は、2.0を両眼共にキープしているし、きっと彼女の持っている潜在的な能力の影響も受けているのだろう。実際は、それ以上に見えている。故に、駅前のベンチまで200メートルほど離れてはいるが、ベンチに誰か座っていれば、その容姿を確実に捉える事ができるのだ。
2007年8月22日(水) No.303

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