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堕天王の逝く道
2007年8月
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一回も日曜日に休みがないとか、笑えるの何の。電王が見れないじゃん。
昨日は、凄い豪雨でした。久し振りに雷にびびった。でも、涼しくならないのがまさにミステリー。

 由紀子・夏樹編 第十三話『覚醒予兆 前編』 その7

 櫻町に戻ってくる。まだ太陽は高く昇っているが、沙夜の体調も考えて早々にお開きとなった。
「沙夜さん、また私にチャンスをくださいませんか? 今回の失敗を返上したいのです」
 沙夜は首を横に振り、そして告げる。
「また遊ぼう」
 それは単純な言葉であったが、優子の心に強く響いた。結局、優子は『案内の人』であり、一緒に出かけているという感覚ではなかったのだ。それを知った時、優子は苦笑し呟く。
「まだまだですね。人並みというのがこんなに難しいとは思っておりませんでした」
「私が言うのも変だけど、お嬢は考えすぎなのよ」
「櫻さんから助言を頂くなんて、気が狂いそうですわ。ありえません」
「・・・食あたりにでもなって死んでしまえ」
「食あたりになるようなものは、口に入れませんからご安心ください。そちらこそ、拾い食いなんてしないように。世間様の目もありますから」
「してないわよ! 人聞きの悪い!」
 やっぱり口では勝てそうにない、と櫻は心の中で毒つく。どんな言葉でも切り返してくるのだから、優子の口の上手さには驚かされる。
「櫻さん。水族館、四日後の同じ日でいいの?」
「あ・・・あぁ。お嬢もどうせ来るんだろう?」
「大垣水族館に行くならば、足が必要ですわ。こちらで用意いたしますが、櫻さんは超人ですから走ったほうが早くつくかもしれませんね」
「ふざけるな。いくらなんでも車と同じ速度で走れるか」
 沙夜は、そんなやり取りを楽しそうに見守る。優子と櫻は、意外に気が合うのかもしれない。そんな事を口に出せば、二人同時に否定されそうではあるが。
「じゃ、櫻さん、優子さん、先に帰ります。今日はありがとうございました」
「またね」
 優子が微笑み手を振る。さすがに作りの笑みではない。
「気をつけて帰りなよ」
 心配してくれる櫻。その優しさが嬉しく、ちょっぴり泣きそうになる。
「うん、水族館楽しみ」
 沙夜は、二人に手を振って家路へと付く。残された優子と櫻。先に口を開いたのは、優子の方だった。
「今日は助かりましたわ。でも、負けませんから」
「・・・気まぐれだ。二度はない」
「それはどうでしょう。まさに、ありえませんわ」
 人を食ったような顔で話す優子に舌打ちをして、櫻も家路に付く。優子はその背中に、『悔しいのよ。とても』と呟いていた。
2007年8月26日(日) No.307

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