++Diary++


堕天王の逝く道
2007年8月
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 



月の日記を
 OR AND
スペースで区切って複数指定可能
起きたら・・・
鼻炎が久し振りに。くしゃみが、計30回以上。なんの嫌がらせだ。また酸欠状態になるじゃないか。今日まで仕事。明日はお休みで、お出かけ予定。町に買出しへ〜。

 由紀子・夏樹編 第十三話『覚醒予兆 前編』 その8

 三日後――。
 時刻は十九時を少し回った頃、沙夜は塾の夏期講習を終え、身支度をしていた。明日は、水族館だ。それも櫻の方から誘ってくれた。嬉しさを抑えきる事なんてできない。いつもはのんびりと支度をする彼女も、今日はバタバタと片付け誰よりも早く家路に着いた。
 沙夜が通う塾は、商店街の一角にある。塾から家までは、徒歩でおよそ四十分程度といったところか。夜の一人歩きは危険であるが、生憎迎えに来るような人もいない。祖母も、実は気が気ではないのであるが、意外に頑固な所がある沙夜を納得させる事はできなかった。
 帰り道は、裏道などを使わず、大きな県道を通って帰る。田舎の県道であるため、車の数は少ないが、明かりだけは煌々と燈っている。本当に怖いのは、この県道を逸れて自宅へ向かう細い道に入ったときである。ろくに外灯もない始末だ。そこを通る時は、いつも全速力だったりする。
 商店街を抜け、県道に合流する道の角、コンビニがあるのであるが、沙夜がその前を通ろうとした時、丁度コンビニからツインテールの少女が出てきた。思わず沙夜も、『あっ』と呟き、相手もそれで沙夜に気づく。
「あら、沙夜ちゃん。塾の帰り?」
 沙夜の友人である、小泉由紀子(ゆきね)である。ジーパンにTシャツと色気皆無のお姿だ。どうせ、夜食か何かを買いに来たのだろう。コンビニの袋の隙間から、カップラーメンの姿なんかが見える。
「こんばんは。今から帰るところだったんです」
「そりゃ奇遇だね。一緒に帰ろっか」
 由紀子は自転車の籠の中に荷物を押し込む。今日は、偶然にも由紀子に会えた。これで途中までだが心強い同行者ができ、安心する沙夜。由紀子に向ける安堵の笑みは、誰に対して向ける表情よりも柔らかかった。沙夜にとって、由紀子とはそういう人なのだ。
「ところで、無事攻略できている?」
 由紀子が話しているのは、櫻の事である。沙夜は、明日のことを再度思い出し、笑う。
「うん、明日、櫻さんが水族館に誘ってくれたの」
「あの堅物がついにデレたか」
「もう嬉しくて、楽しみで」
「今日は寝られないかもしれないわね」
 『うん』と頷く沙夜。由紀子は本来、櫻と関わる事に対して反対派だった。櫻と由紀子は、別に何かあったわけではないが、とにかく相性が悪い。それは、優子と相性が悪いのと、また違うものだ。最初の頃こそ、櫻の話をしても渋い顔をして、心配事ばかりを口にしていた彼女も、ここ最近は素直に同調してくれる。櫻への認識を改めたというよりかは、沙夜に対する信頼が強くなったと考えるべきだろう。
 由紀子と楽しく談笑しながら家路を歩む。喧騒は遠くなり、静かな住宅街へと移っていく。古い雑貨屋の前を通り、冷たい光を燈す自販機の前を通り過ぎたその時である。
 何かが自販機の光を反射する。そして――。
「えっ・・・? あ・・・?」
 由紀子が戸惑いの呟きを残し、倒れていく。その様に気付いた直後、沙夜は何が起こったのか理解する間もなく、腹部に重たい痛みを感じつつ――意識を手放した。
2007年8月27日(月) No.308

No. PASS
No. USER PASS
にほんブログ村 小説ブログへ にほんブログ村 小説ブログ 長編小説へ ブログランキング・にほんブログ村へ
[日記管理] [TOP]
shiromuku(cr3)DIARYS version 1.10
CGIレンタルレンタル掲示板 Net4u