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買いたいのに買えないもの。 私の場合、それは「いちじく」。
昔、仙台の実家に、いちじくの木がありました。 それは、かなりの大木で 兄と私は、毎日のようにそれに登って遊びました。 ときおりやってくる百舌(もず)が 小枝にかえるを突き刺していくこともありました。 実りの季節になれば、遊びがてら、バケツに実をとり、 それこそ好きなだけ、食べたものでした。
食べても食べてもなくならないいちじくの実は 母が、大鍋にたっぷりの砂糖とともに入れ、甘露煮にしました。 我が家のいちじくの甘露煮は、濃いべっこう色で、 冷蔵庫に入れておけば、たっぷり1年はもちました。 これを、ジャム代わりにパンに乗せたり、 お茶請け、デザートとして、そのまま食べたりしました。
こんなふうに、いちじくは、私たち家族には、 あまりにも身近なもので、果物、という感覚すらありませんでした。 そう、ふきのとうとか、つくしとか、あけびとかのように、 そこらへんに勝手に自生するもの、という感覚だったのです。
ところがある年のこと、地域にカミキリムシが大発生し、 ご近所中のいちじくの木が、すっかり被害にあいました。 我が家のいちじくも、幹が空洞になるほど食い荒らされ、 危険だということで、切り倒すことになり 門間家の『いちじく飽食の時代』は幕を下ろしました・・・。
大人になってから、いろいろなところで、いちじくに逢いました。 ケーキの飾りになっているのを見たときには、驚愕でした。 いちじくって、こんな洒落た果物だったのか!?と。 淡いピンクのコンポートを見たときにはさらに、ショックでした。 こんなふうに、あっさりと色よく仕上げてもいいのか!? どーして、うちは、あんな佃煮みたいにコテコテに煮ていたんだ?と。
スーパーの店頭で、いちじくを見かけるたびに、 つい手を出しそうになるのですが、500円とか値札がついてると どうしても買えないのです。 だって、私の中では、これは買う果物ではない、 買うのが、悔しいのです(苦笑) でも、大好きなのでシーズンに2回くらいは、 ガマンできずに買ってしまう…。 そして、大切に食べながら 「これを買うことになるとはなぁ」といつも思ってしまうのです。
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