※分かる人にはバレバレでしょうが、あえて採集場所をぼかします。
で4時20分出発。『鉄道唱歌関西参宮南海編』を聞きながら蒲田へ歩いていくのが定番なので、今日もこれに準拠。移動中『性的唯幻論序説』を読みつつ、3年前とは別の駅にて下車。どうしようもないくらい寒くて朝はいつもつらいのだが、今回の最初のアプローチは大失敗。記憶のある「反対側」へ延々歩いていく事を決意し、まずはマイマイカブリを探すも、河畔林にはめぼしい木がない!今日は数を稼ぐつもりは全くないので1匹見つけられればいいのだが、その1匹も見つけられるか危うい。
風の無い河畔林ではほぼ「無音」状態になり、自分が枯れ草を踏みしめて歩く音だけが聞こえてくるのだが、このとき感じる自分ひとりだけ異世界に迷い込んでしまった気分が心地よい。たまに「バタバタバタ!!!]」とキジが飛び去っていくのが地雷なのだが、比較的そばで綺麗な雄鳥を見られたのはよかった。 ただ風が止むのはほんの一瞬で、度し難い強風が絶え間なく遊水池を駆け抜け続けている。もともと音が希薄だから、木々がきしみながら揺れ始めるとけっこう不気味である。この感覚は去年多羅尾でも味わったな…
ようやくめぼしい木が見つかり、オオスズメバチ女王が現れる。ついでカビにやられて真っ白なキイロスズメバチ女王も掘り当ててしまい、どちらも処遇に困ったのだが、今日は採集用具(≒毒ビンの代わり)を1種類しか持ち合わせておらず、カビだらけの標本を採集できる余裕は無かったのでオオのみ「お持ち帰り」。 ちなみにマイマイカブリが潜んでいそうな木には女王バチが越冬している事も多い。そのため期待が高まるも、お目当ての見つけられず。結局、ヘンな場所から一匹だけマイマイカブリを掘り当てる。
だいたい歩き始めて3時間半くらいたったころから足が悲鳴をあげ始める。肩こりは前期試験が終わっても一向に引く気配は無く、筋肉がやせ細っているのは受験のせいか加齢のせいかよく分からない。3年前はもう少し体もしなやかだったはずで、河畔林でも機敏に歩けた(※走るのは難しいし、危ない)気がするのだが、とりあえず向き甘栗を食べてごまかす。
ワタラセハンミョウモドキは河畔林に入る前に自分のイメージする場所で探してみたがかすりもする気がせず早々に本日の採集対象から除外していたので、残すはアカガネオサムシのみとなる。このオサムシは3年前、河畔林のゴミの下から見つけたきりで、”めぼしい木での越冬シーン”にはどうしても巡りあえないでいた。めぼしい木は幾度となく調べてみたのだが、そのどれからも見出すことができず、私の中での憧れは非常に大きい。
・・・のはずだが! マイマイカブリよりもさらに理解に苦しむへんてこな木から端整なエリトラ(写真の黒い部分:硬い前翅)を見いだしてしまい、混乱する。なぜ彼はこの木を選んだのか?私には皆目その基準は分からないのだが、ここからコガタスズメバチ女王が発掘された事実は、私の能力が未熟なことを示すよい証拠でもある。 その近くのめぼしい木で、ようやくイメージどおりに彼女を掘り当てた時にようやくアカガネたちの好みの理解に一歩近づけたようだ。
ほんとうはのんびりと河畔林で冷え切った焼き芋と暖かくない甘酒の昼食をとりたかったが、風が強すぎたので帰りの電車まで持ち越しとなったのが残念であった。
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