++Diary++


堕天王の逝く道
2007年9月
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      



月の日記を
 OR AND
スペースで区切って複数指定可能
昔の小説と今の小説
昔の小説を読み直してみると、自分が書いたようには思えないような文章になっていたり。
で、初心に帰ってみようかと、十五話を古いスタイルで書いてみた。

修正する可能性はあるけど、下に掲載。

 由紀子・夏樹編 第十五話 冒頭の1シーン

 十二年前、一緒にいたいと願った彼女は、『借りは返したからね』と囁き、わずか十六歳の人生に幕を下ろした。絶望して張り上げた自分の声が、今でも耳にこびりついている。
 『空音・音子、安らかに眠れ』。
 碑にはそう記されている。誰が書いた言葉なのか、不愉快なので刀で袈裟切りにした。重い音をたてて、碑が崩れ地面を穿つ。
「なにが安らかに眠れ、だ。自分達の手で、それを奪ったのだろうが」
 吐き捨てるように言う。彼は、くだらない弔いの碑から彼女が亡くなった場所へと視線を移す。今や、草達が好き勝手に生え雑然としているが、彼女の亡骸を受け止めた場所は、その程度では風化しない。寂しげにその場所を見つめ、彼は呟く。
「音子、俺は帰ってきた。君が望んだ、紅(くれない)の呪縛を打ち崩すために」
 気配を感じて、『誰だ?』と彼は問う。
 朽ちた門柱の向こうから、オレンジ色の髪をした少女が姿を現した。赤いチャイナ服を身に纏った彼女は、小さく彼の背中に頭を下げる。
「数馬様の姿をご拝見いたしましたので、勝手ながらこの場所でお待ちしておりました」
「・・・で?」
 数馬と呼ばれた彼は、いつでも斬りかかれるように体勢を整えた。背中を向けていようが関係ない。彼の実力なら、一呼吸で少女の首を刎(は)ねる事ができる。同時に彼は、隠しもせずに殺気をむき出しにしていた。しかし、その冷たくそれでいて凶暴な狂犬の牙のような殺気にも、少女はまったくといって怯(ひる)んではいなかった。
 ただ、こう告げる。
「私は、茜様の飼い猫でございます」
 数馬の表情が驚きに包まれる。
「・・・音子が話していた。橙(たう)・・・なのか?」
「音子様が・・・音子様が・・・」
 少女は嬉しそうにはにかむ。数馬も殺気を打ち消して、少女の方へ振り向いた。
「あ・・・ごめんなさい。私、橙です。今は、どこにも所属せずに独自に動いています」
「それは全てを知っている・・・からか?」
 何も語らない橙。それが答えである。
「こちらには切り札があります。手を貸していただけませんか?」
「・・・話を聞こう」
 そう口にした数馬の前で、橙は一枚のカードを取り出しその力を解放した。眩い光の中を舞うそれを見て驚く彼に、それは言った。
「あなたが数馬君ね。その瞳、彼に良く似ているわ」



昔は、こんな書き方をしていた。え? 違いが分からない? 私的には、全然違うのです。言葉では説明できないけど。
2007年9月21日(金) No.334

No. PASS
No. USER PASS
にほんブログ村 小説ブログへ にほんブログ村 小説ブログ 長編小説へ ブログランキング・にほんブログ村へ
[日記管理] [TOP]
shiromuku(cr3)DIARYS version 1.10
CGIレンタルレンタル掲示板 Net4u