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堕天王の逝く道
2007年9月
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勝手に対抗東雲あおね
ということで、一日一枚とか目標を掲げていらっしゃる東雲あおねさんに、断りもなく対抗して、私も一枚描いてみるぅ〜・・・と。さて、どっちが先にめげるか?! いや、ごめんなさい。絶対私です。多分、明日はもう描いてないかも(苦笑。
今日描いたのは、黒の契約者(通称DTB)の銀(イン)です。ドールと呼ばれる、受動霊媒? とか呼ばれる存在で、自我というものはありません。でも、銀には少しながらあるし、過去の記憶も持っている様子。しかし・・・。
「悲しくない事が悲しい」
という台詞が語るように、辛い過去を思い出しても感情が動かない様である。笑う事もできないので、自分で唇を指で上げて笑って見せたりとか。
参考は、
http://www.d-black.net/(公式)
あと、銀のGIFが置いてあるオトウフマテリアルさん。
http://otoufu.xrea.jp/(TOP)
日記で埋もれてしまっているので、絵の2に。

てことで、連載へ


 『琥珀色の思い』 その5

 三日が経った。チェイチェイの看病もあって、経過は順調。歩く事ができるようにもなった。村でのチェイチェイとの生活は、穏やかでとても暖かいものであり、戦争を日常としてきた彼にとっては、驚くほど新鮮だった。
 三十年前、ザムルカルは革命が起こり、王族は処刑された。まだ出来立ての法が敷かれ、平等な社会が訪れたが、世界で二番目となる共和国は他国の干渉戦争にさらされるはめとなる。王こそ絶対、神の僕(しもべ)である、と主張する君主国や、神の下に法を敷き統治している宗教国家から見ると、共和国なんてものは市民に無駄な希望を与える癌でしかない。
 共和国を守るために、共和国を広めていくために、軍人は武器を持ち戦う。サファリスは、革命に関わった軍人の息子でもあり、人々が平等に生活し、チャンスを活かせる世界を彼は誇りと思っている。そのため、士官学校も出て幹部候補生だった彼は、国の中央での勤務の話を蹴り、共和国の偉大さを伝えるため、最前線での戦いを希望した。
 ひたすらに国の思想のために戦い続けた毎日。安らぎは、趣味である釣りの時間だけ。すべての時間を戦争に使い果たした彼が、戦争もない平和な村で過ごしたらどうなるだろうか?
 その日サファリスは、チェイチェイの肩を借り、友人――ギリアの墓を訪れた。村を一望できる共同墓地の端に、彼の墓はあった。立てられた木の墓標には、名前がない。そのためチェイチェイにナイフを借り、名前を刻んだ。
「ギリア、正直アニスに会わせる顔がねぇ。また引っぱたかれるんだろうな。まぁ、それもこれも俺の判断ミスのせいだ。甘んじて受けるさ」
 後ろを振り返ると、チェイチェイの姿はなかった。気を利かせたのかもしれない。穏やかで清々しい風が慣れていく。木々が揺れる音が、耳に心地よい。澄み渡った青い空には、まだらな雲がゆったりと流れていた。
「・・・静かだな。硝煙の匂いと爆音、魔法の詠唱音と発動の際の光・・・あの世界が、俺の住む世界だと思っていたんだが、ここにいるとどこか遠くの物語のように思えてくる。ギリア、俺はあの世界に帰るべきなのか? それとも・・・」
 静かで穏やかで優しい村が、サファリスに与えた影響は大きかった。軍の家系に生まれ、教えを絶対だと信じ、共和国のために戦い続けた日々。それが当たり前で、一生続けていく事になんら疑問を抱かなかった。しかし、今はどうだろうか。ただ、確かな事が一つ。チェイチェイとの生活は、実に気に入っていた、それだけである。
「ギリア・・・また来るな。今度は、確かなる答えを持って」
 帰ろうと思ったが、チェイチェイが戻ってきていない。下手に探しに行って迷子になったら、目も当てらない。しかたなくその場に座って彼女の帰りを待つことにした。しかし、ゆっくりと流れていく雲の姿を眺めている内に、睡魔に襲われ彼はそのまま逆らう事もできずに眠りへと誘(いざな)われてしまった。
 草達の囁きが、サファリスに目覚めを促す。眠っていた事に驚き、慌てて体を起こす。途端に走る鈍痛が、傷が癒えていない事を教えてくれた。
 少し離れた所に、チェイチェイの姿。じっと眼下の村を見下ろしている。思わず、サファリスは苦笑した。
「起こしてくれても良かったんだぞ」
 チェイチェイは、振り返るも笑顔を称えたまま何も言わない。しかし彼女が言わんとしている事は、サファリスにも伝わっていた。そのため、罰悪い顔をする。
「帰ろう」
 サファリスは、自然と『帰ろう』と口にしていた。チェイチェイは、笑う。いつものように暖かく優しく。
2007年9月9日(日) No.320

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