ここ最近、鼻炎が酷い。やっぱり、季節が変わって何かの花粉が飛び出したか。危険、デンジャー。それとここ最近、また夢を見まくるようになった。熟睡していない証拠だと思われる。嫌だ、嫌だ。
祝第十四話脱稿! と、自分の中で勝手に舞い踊る。昨日、ようやく書き終えました。十三話でてこずったせいか、割と早く終えれました。なんだか、清々しい。それは何故かというと、第十三話と第十四話、覚醒予兆前後編は、由紀子・夏樹編の丁度真ん中、ようするに一部完と同じ意味合いを持つのです。なので、本当の意味でひと段落。でも結構、ざぁーとノリで書きまくったので、手直しする所があるかもしれないけど、新章開始へ向けて、ウキウキである。 これまで由紀子と夏樹の話だけではなく、色々なサイドストーリーを混ぜてきましたが、聡の話とか沙夜の話とか、これからは二人の純粋なる物語となるので、無駄を省きます。補足は、また別の章でやることになるっしょ。
『琥珀色の思い』 その2
それは、どこかの世界の一つの物語。 ササイルムラー自治区の独立を発端として始まった、ササイルムラー戦争。独立を阻止しようとするエヴィリスと、君主国から独立し共和国への道を目指すササイルムラーを援助するザムルカル共和国の、因縁の大戦争。その戦争の二大戦局の一つである、国境となっている川、ヘミン川を隔てての戦い。後に、ヘミン川の戦いと呼ばれるその戦いに、共和国側の第三十五番隊の隊長として、彼は参加していたのである。
強く差し込んでくる光に、顔をしかめて彼は目を覚ました。穏やかな鳥達の声音と、優しい緑の匂いがしてくる。清々しい朝の空気は、彼の体を包み込み、急速に覚醒を促していった。 「ここは・・・?」 木で出来た屋根、木でできた壁。うすっぺらいベニヤ板ではなく、丸太を積み重ねて作られているようだ。いわゆるログハウスか。日が差し込んできていた窓には何もはまっておらず、ただ青いカーテンが揺れているだけである。 「あ、起きた」 少女の声音。腰のホルダーから銃を出そうとしたが、その手は空を掴んだ。腰にはそもそもホルダーはなく、着ている服さえ、軍服から緑色の麻の服に変わっていた。そして、突然の動きは、深い眠りと刻まれた傷の痛みによって蓄積されたダメージを本人に知らしめるだけだった。 「いててて・・・くそっ!」 「大丈夫。私、敵じゃない」 ある程度の距離を置いて、優しく微笑む少女。『敵ではない』、そう言う奴に限って――というのもあるが、彼女の言葉は自然と信用できた。彼女の笑顔が、それだけ無垢だったのだ。 「共和国の人間か?」 彼と同じく、少女は金髪に緑色の瞳。そして、白い肌。さらに同じ言葉と来れば、自ずと答えは出てくる。しかし、彼女の答えはあまりにも意外すぎた。 「ここはオーツルファム。だから、大丈夫」 「オーツルファムだと?! なんてこったい、いつの間にか山越えていたのか」 オーツルファムは共和国の隣接国であるが、その国境のほとんどをセレル大山脈と呼ばれる山に隔たれていた。彼は、その山の麓で敵側の陣地に奇襲をかけようとして、逆に罠にはまったのである。上へ上へと逃げていたので、いつのまにか国境を越えてしまっていたのだろう。 「ならなぜ君は、共和国の言葉を?」 「お父さん、共和国の人だったから」 「そうか・・・」 とりあえず、彼女の言葉の通りなら周りに敵はいない。オーツルファムとは、仲がいいわけではないが、極端に悪いわけでもない。見つかったとしても、強制送還程度である。彼としては、その方が正直楽。自分で旅費とかを見積もる必要がないからだ。 心の整理が、だんだんとついてくる。視野が広がっていく中、彼は友人の存在を思い出した。近くに彼の姿はない。 「ギリア・・・俺のほかにもう一人いなかったか?」
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