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堕天王の逝く道
2007年9月
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ヤバイな
キツすぎて、フラフラしてきたよ。
最近、本当に体調がよくないわ。

今日、私の受け持ちの患者が心筋梗塞で別の病院へ旅立ちました。まぁ、もういい年だしな。しかし笑えるのが、私が頻脈に気付き、Drに報告したわけですが、『特変なし。様子観察』となった3〜4時間後の急変。あの奇妙な呼吸は、前兆だったんだなとか思ったんだが、Drには大したことはなかったのだろうか?
てんかん発作を起こし、言葉を話さなくなり、常に閉眼状態だったから思い入れがあるわけでもないが、少し寂しいものがありますな。でも・・・意外に戻ってきたりして。不屈の生命力で、死に掛け状態から復帰した人が何人もいるからな・・・。


 『琥珀色の思い』 その3

 少女は、表情を曇らせた。それが全ての答え。助からないことは分かってはいた。だから、彼もその真実を静かに受け止める。そんな彼の前に、少女は青い麻の布で包まれた物を置いた。ゴトという音がしたため、金物か何かが入っているようだ。
「そのギリアさん? という人の持ち物です。お墓は、丘の上に作りました」
「・・・集めてくれたのか。それにお墓まで」
 少女の心配りに、感動せずにはいられなかった。麻の布の中身は、ギリアが使っていた銃とギリアの妻の写真、それと汚れたお守りと遺書と書かれた封筒だった。
「ありがとう・・・これでアイツを故郷に連れて帰ることが出来る」
 悲しみが広がっていく。ギリアと出会ったのは、二年ほど前の話。部隊の再編成があったときに、部下として配属されたのが彼だった。年もほとんど変わらず、生まれも近かったため、なにかと一緒にいることが多かった。明るく、快活な男だった。アニスとも婚約をしたばかりであった。
 多くの仲間を失い、多くの幸せが砕け散る様を見てきた。しかし、慣れるということはない。心なんてなくなってしまえばいいのに――そう思わずにはいられないほどに。
「何か食べますか?」
「いや・・・今はいい。それよりも君の名前を聞かせてはくれないか? 俺は、サファリスだ」
「チェイチェイ」
「ん?」
 発音が聞きにくかったため、もう一度促す。少女は微笑み、ゆっくりと名前を言う。
「チェイ、チェイ」
「チェイチェイ・・・こっち側の名前は変わっているな」
 話していると、意識が一瞬くらんだ。体調は、そこまでいい方ではないらしい。その様子に気付いたチェイチェイ。
「もう休んでください」
 と、心配そうに告げてきた。元より、これ以上は起きてはいられなかった。
「あぁ・・・わりぃ、少し眠る」
「優しい夢を」
 初めてそんなことを言われた。
「あぁ・・・」
 ギリアといた頃のことを思い出しながら、目を瞑る。いい夢が、見れそうな気がした。
2007年9月5日(水) No.316

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